傍点]とかの概念に止らない、政治的なるもの――必ずしも所謂政治にぞくするものとは限らない――こそ夫である。実際今日、歴史の代表的・性格的内容は、階級[#「階級」に傍点]――この政治的なるもの――に関してのみ有効に段階づけられ得ると考えられている。そうすれば一般に、歴史性[#「歴史性」に傍点](即ち又社会性[#「社会性」に傍点])とは、直ちに[#「直ちに」に傍点]又はやがて[#「やがて」に傍点]、階級性[#「階級性」に傍点]として初めて優越に理解されるべきものだ、ということが結果する**。歴史性必ずしも常に階級性とは限らないが、現代では、歴史性はやがて[#「やがて」に傍点]階級性となるべきであり、歴史性を言うことは階級性の萌芽を培うことであり、階級性への出発をすることなのである。歴史性の概念から階級性の概念へのこの推移[#「歴史性の概念から階級性の概念へのこの推移」に傍点]に関する理解は、今日決定的と思われる。よって以下歴史性と階級性とを同じ意味に用いることが出来る。この点は大切である。
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* 例えば文学史という特殊史には、文学的時代区別(〔e'poques litte'raires〕)が必要であると説かれるであろう。之に反して一般史には政治的時代区別が与えられている。
** 歴史から独立な社会や、社会から独立な歴史はない。歴史性は常に同時に社会性である(以下歴史的とは社会的に同じ)。
[#ここで字下げ終わり]
 さて科学の歴史性[#「科学の歴史性」に傍点]――階級性[#「階級性」に傍点]――は決して単純ではない。様々の階梯を之に区別する必要が現実上あるであろう。何故なら今日階級性の概念が様々に異った意味で用いられているのが事実であり、そしてこの様々に異った意味を区別しておかないために、色々な困難や不充分さに行き当るのを吾々は経験しているから。
 科学――学問――が一つの歴史的――社会的――所産であることは云うまでもない。科学のもつ理論の形式は兎に角として、少くともその内容は、であるから歴史的に制約されている。たとい科学の所謂アプリオリなるものが絶対不変であろうとも、之に基く理論内容は、歴史的に変化[#「変化」に傍点]することを免れない。理論Aの内容α1[#「1」は下付き小文字]が、内容α2[#「2」は下付き小文字]に変化するこ
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