来そういうもの以外にはないはずで、そうでなければ細胞のオルグなどということはナンセンスになる。そこで実際に思想内容を組織化し体系化して行くことだが、それはただやれない、実験とか経験とかいう感性的な媒介によって初めてシステムが育って行くのは知れた事だ。そうでないシステムは妄想にすぎないので、そういう非現実的なシステムは各種の精神病の典型によく現われる。だからシステムは単に、自分が肥って行くためのメカニズムを自分自身で用意する処のメカニズムであるばかりでなく、そのメカニズムが感性的な実際性(アクチュアリティー)を実地力(実践力)を、持っていることを必要とする。公式はそういう時に役に立つので、公式というのは過去の実際的経験が蓄積され精錬され省略化された活動用具だからである。
どんな固定観念にでもシステムはある。凡そ観念の存する処、必ず観念のシステムはある。ただそのシステムが発達するシステムであるかないか、つまり同じことだが、その観念が発達する思想[#「思想」に傍点]であるかないかが、問題なのだが、併し生きて動いている思想でも、システムが透けて見えない場合は非常に多い。例えば古来どんな文芸評
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