葬り置きくだされたく願い奉り候。
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((下略))
武男が旅順にて遭遇しつる事はこれに止《とど》まらず、わざと書中に漏らしし一の出来事ありき。
六の二
武男が書中に漏れたる事実は、左のごとくなりき。
千々岩の死骸《しがい》に会えるその日、武男はひとり遅れて埠頭《はとば》の方《かた》に帰り居たり。日暮れぬ。
舎営の門口《かど》のきらめく歩哨《ほしょう》の銃剣、将校|馬蹄《ばてい》の響き、下士をしかりいる士官、あきれ顔にたたずむ清人《しんじん》、縦横に行き違う軍属、それらの間を縫うて行けば、軍夫五六人、焚火《たきび》にあたりつ。
「めっぽう寒いじゃねエか。故国《うち》にいりや、葱鮪《ねぎま》で一|杯《ぺえ》てえとこだ。吉《きち》、てめえアまたいい物引っかけていやがるじゃねえか」
吉といわれし軍夫は、分捕《ぶんど》りなるべし、紫|緞子《どんす》の美々しき胴衣《どうぎ》を着たり。
「源公《げんこう》を見ねえ。狐裘《かわ》の四百両もするてえやつを着てやがるぜ」
「源か。やつくれえばかに運の強《つえ》えやつアねえぜ。博《ぶつ》ちゃア勝つ、遊んで褒
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