大学に帰るに会った。夏期休暇に朝鮮漫遊して、今其帰途である。余市《よいち》に来て、日本海の片影《へんえい》を見た。余市は北海道|林檎《りんご》の名産地。折からの夕日に、林檎畑は花の様な色彩を見せた。あまり美しいので、売子《うりこ》が持て来た網嚢入《あみぶくろいり》のを二嚢買った。
 O君は小樽《おたる》で下り、余等は八時札幌に着いて、山形屋に泊った。
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      中秋

 十八日。朝、旭川《あさひがわ》へ向けて札幌を立つ。
 石狩《いしかり》平原は、水田已に黄《き》ばんで居る。其間に、九月中旬まだ小麦の収穫をして居るのを見ると、また北海道の気もちに復《か》えった。
 十時、汽車は隧道《とんねる》を出て、川を見下ろす高い崖上《がいじょう》の停車場にとまった。神居古潭《かむいこたん》である。急に思立って、手荷物|諸共《もろとも》遽《あわ》てゝ汽車を下りた。
 改築中で割栗石《わりぐりいし》狼藉《ろうぜき》とした停車場を出て、茶店《さてん》で人を雇うて、鶴子と手荷物を負《お》わせ、急勾配《きゅうこうばい》の崖を川へ下りた。暗緑色《あんりょくしょく》の石狩川が汪々《おうおう》
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