しみ》です。父は九十三、母は九十一、何卒《どうか》私共もあやかりたい。先頃の大地震に、私はある人に言いました。「借金もちは、天道様《てんとうさま》が中々殺さぬよ」。私も夥《おびただ》しい借金もちです。五十年来幾度となく死地を脱して斯く生かされて居るのも、あの因業爺《いんごうおやじ》が「分厘までも」払わさずには置かぬ心底がまざ/\と読まれます。私も昔は借金とも思わず無暗《むやみ》に重《かさ》ねた時代がありました。借金と気がついて急に悄気《しょげ》た時期もあります。わが借金は棚《たな》にあげ、他《ひと》の少々の貸金をはたって歩いた時もあります。山なす借金、所詮《しょせん》払えそうもないので、ドウセ毒皿だ、クソ、ドシドシ使い込んでやれ、踏倒して逃げてやれ、と悪度胸《わるどきょう》を据《す》えた時もあります。然しもう潔《いさぎよ》く観念しました。返えします。奇麗に返えします。成る事なら利子をつけて返えします。返えさずに居れなくなりました。返えすが楽にさえ悦喜にさえなって来ました。目下整理中です。総《そう》じて義務が道楽にならねば味がない。借金返えしも渋面《じゅうめん》つくって、さっさと返えして
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