口と筆太《ふでぶと》に書いた棒杭《ぼうぐい》を右に見て、上利別《かみとしべつ》原野《げんや》に来た。野中《のなか》、丘《おか》の根《ね》に、ぽつり/\小屋が見える。先ず鉄道線路を踏切って、伏古古潭《ふしここたん》の教授所を見る。代用小学校である。型《かた》の如き草葺《くさぶき》の小屋、子供は最早帰って、田村《たむら》恰人《まさと》と云う五十余の先生が一人居た。それから歩を返えして、利別《としべつ》川辺《かわべ》に模範《もはん》農夫《のうふ》の宮崎君を訪う。矢張草葺だが、さすがに家内何処となく潤《うるお》うて、屋根裏には一ぱい玉蜀黍をつり、土間には寒中|蔬菜《そさい》を囲《かこ》う窖《あなぐら》を設け、農具《のうぐ》漁具《ぎょぐ》雪中用具《せっちゅうようぐ》それ/″\掛《か》け列《なら》べて、横手《よこて》の馬小屋には馬が高く嘶《いなな》いて居る。苦《にが》い茶《ちゃ》を点《い》れて、森永《もりなが》のドロップスなど出してくれた。余等は注文《ちゅうもん》してもぎ立ての玉蜀黍を炉《ろ》の火で焼いてもらう。主《あるじ》は岡山県人、四十余の細作《ほそづく》りな男、余作君に過日《こないだ》の薬《
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