御座います。
私は今は外科室の患者が四十人ばかり居る室で働いて居ります。随分ひどい重傷の人も居ります。脊骨《せぼね》を挫《くじ》いた人が三人程に、火傷《やけど》の人や、三階や二階から落ちた人や、盲腸炎《もうちょうえん》の人や、なか/\種々な種類の患者が居ります。
脊骨が折れても余病さえ起さねば大丈夫で御座います。一人は肺炎を起して死にましたが、後の二人は丈夫で居りますが、然し実に痛たそうで随分気の毒で御座います。初めは手術室から帰って来た患者の側《そば》に居って看護をいたします事が一番恐ろしく、殊に睡眠剤《すいみんざい》の臭《におい》が鼻について自分が心地が悪くなりましたが、近頃は慣れて平気になりました。それからどんないやな恐ろしい事でも、自分がせねばならぬと思いますれば、何でも出来ます。未だ初めで御座いまして、ベッドを作る事や、病人の敷布《しいつ》をかえる事や、器械を煮《に》て消毒する事や、床ずれの出来ぬように患者の脊《せなか》をアルコールで擦《こす》る事や、氷嚢やら湯嚢《ゆたんぽ》やらをあてゝやったり、呑物《のみもの》を作って与えましたり、何やかやと、一日を忙《せ》わしく、足は棒の
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