アれからはまた印度《インド》の緑蔭も踏むことだろう。私達の旅のすがただ。詩人の墓も撫でたしナポレオンの帽子にも最敬礼した。西班牙《スペイン》の駅夫とも喧嘩したし、白耳義《ベルギイ》の巡査にも突き飛ばされた。モンテ・カアロでは深夜まで張りつづけたし、ムッソリニ邸の門前で一枚の落葉を拾ってくる風流記念心も持ち合わせた。独逸《ドイツ》廃帝も付け狙ってみたし、明方近い巴里《パリー》のキャバレも覗いた。裏街の酒場の礼儀も覚えたし、新しい舞踏ステップも一通りは踏める。それから・それから・それから――眼まぐるしく動いたようで、一個処にじっと落ちついていたような気もする。今になってみると、もう一度繰り返したい一年余であった。
 気がつくと、私は、船の進行に合わしていつの間にかこころ一ばいに絶叫していた。
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がたん・がたん!
がたん・がたん!
Home−coming blues !
Home−coming blues !
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 何とそれが調子よく機関のひびきに乗ったことよ!
 これからは当分、この連続的に退屈《モノトナス》な低音階と、ぺいんとの香《におい》と、
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