ナ「休養」に過すのである。これがわがケニンガム夫人のウィンタア・スポウツだった。
冬の St. Moritz ――白い謝肉祭《カーニヴァル》は要するに仮面の長宴だ。
そこへ、羅馬《ローマ》法王の触れ出したほんとの謝肉祭《カーニヴァル》が廻って来た―― The Ice Carnival !
宵から朝まで、ホテルのスケイト・リンクで紐育《ニューヨーク》渡りのバヴァリイKIDSがサクセフォンを哮《ほゆ》らせ、酒樽型の大太鼓をころがし、それにフィドルが縋《すが》り、金属性の合いの手が加わり――ピアニストは洋襟《カラア》を外して宙へ放る。
[#ここから2字下げ]
Was it a dream ?
Say, was it a dream ?!
昨夜《ゆうべ》あなたは僕の腕のなかにあった。
僕の腕はまだその感触でしびれてる!
それなのに夢だなんて!
[#ここで字下げ終わり]
一曲終る。アンコウルの拍手はしつこい。つづいてまた直ぐに始まる。限《き》りがない。ディッケンス小説中の人物・ハムレット・1929嬢・奴隷酷使者《スレイブ・ドライヴァ》・なぽれおん・REVUE広告のサンドイッチ人形・ルイ十
前へ
次へ
全66ページ中55ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
谷 譲次 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング