、莫迦げ切った質問ばかり発します。そうして、それによって、その返答を素材に、こっちで勝手に、あなたの好む通りの「人間」を拵《こしら》え上げる。それは、この上なく賢明な遣《や》り方です。公衆《パブリック》は、自分達の偶像との、こういう電光石火的面談記《ライトニング・インタヴュウ》に胸を躍らせて愛読すべく、ジャアナリズムの英雄達によって、もう充分に教育され尽していますから、今あなたが、ムッソリニに対して、この方法を採用すれば、或る程度までの効果は期待していいはずです。』
私は、一々自分の意図が、この国際裸体婦人同盟員の口から繰り出されるのに、新奇な驚異を経験しながら、それなら、仮りに私がムッソリニに会うとしたら、私は、果してどんな質問を次ぎつぎにポケットから取り出して、ムッソリニのどこを狙って投げつけべきであろうかと、彼女に訊いてみた。
彼女は、そこから名案を叩き出そうとでもするように、一つの握り拳《こぶし》で、暫らく手の平を打ち続けたのち、やがて、注意深い小鳥のように、首を曲げて、言い出したのだった。
[#ここから天付き、折り返して2字下げ]
『1 一日に何時間眠りますか。或いは、何
前へ
次へ
全67ページ中26ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
谷 譲次 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング