フうえから大きな巻毛の自動車用コウトで埋めつくされていた。そして一分おきに自動車用|手提《てさげ》から自動車用鏡を出して薄飴《うすあめ》いろのKEVAの口紅をアプライしていた。19の黒い制服には金釦《きんぼたん》が重要性をつけていた。すべてが巴里《パリー》からドライヴして来た人に相応《ふさわ》しい「長い途《みち》に狐色になった荒《ラフ》さ」だった。私は彼女の肩に手を廻して、19がますます速力を踏んで一時間七十七|哩《マイル》するのを微笑によって黙許しておいた。
私達は高《アパ》コルニッシュ街道の行手にモンテ・カアロが出現するのを待っていた。
Monte Carlo !
モンテ・カアロだけは別だ!
これは地球に打ちこまれた蛇眼石《じゃがんせき》の釘《くぎ》みたいなものなのである。女悪魔のコンパクトに幽閉されていて、開けるとすっ[#「すっ」に傍点]と吹いてくる冷たい微風のような場処である。
このモンテ・カアロは太陽の下のどこよりも盛大な国際的|自由意思《ケア・フリイ》を唯一の価値として実行《プラクテス》しているのだ。その驚くべき原動力は、鉄片のかわりに黄金を引きよせる特殊装置の磁
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