эt団で、リンピイ・リンプのごとき、彼じしんの自覚と無意識を問わず、その有機網の末梢神経を構成するほん[#「ほん」に傍点]の一細胞に過ぎなかった。
それにしても、女肉を常食とする点で、リンピイもPIMPはぴんぷ[#「ぴんぷ」に傍点]だった。
で、彼がどんな猛悪な――あるいは罪のない――「ピンプ」だったかは、その女のしっぷ・ちゃんの手腕を見ただけでもおよそ判断のつくことだが、そのうえ彼は、妻のマルガリイダ婆さんから振り当てられてる手引人としての仕事も、決して忘れてるわけではなかった。
が、どうしてリンピイが「客を引」いたのか、僕は知らない。とにかく、僕と彼のあいだに支那公《チンキイ》ロン・ウウのしっぷ[#「しっぷ」に傍点]・ちゃん[#「ちゃん」に傍点]契約が目出度《めでた》く成立して、二人が酒場《タベルナ》を出たとき、おどろいたのは、六、七人の船員たちが自進的に燃焼水《アグワルデンテ》に別れを告げて僕らといっしょに歩き出したことだ。
だから、リンピイを先に妙に黙りこくった一行がどんどん[#「どんどん」に傍点]|山の手《バイロ・アルト》――高い区域――の坂を登って行った。マルガリイ
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