Fレスは、いま銀のつばさを一ぱいに張ってこの大ぞらを飛行している。悠々とそして閑々と、法規と礼譲と道徳とあらゆる小善とを勇敢に無視して、そのうえを往く「空の無頼漢《アパッシュ》」だ。何という近代的に無責任なCHIC!
BUMP! そしてRolling。
窓から手を出す。指が切れて飛びそうだ。つめたいのか痛いのかちょっと感覚の判断に迷う。
ボウイが正面壁間《ブルワアク》の黒板へ何か書き出す。みなの眼が白墨へあつまる。NOW OVER と上にぺんき[#「ぺんき」に傍点]で出ていて、ボウイのチョウクがあとをつけ足す。
NOW OVER Sevenoak.
セヴノウクの町だ。
ははあ、固まってる。うすっぺらの家が、後園《バック・ガアデン》が、洗濯物が、木が路が人が。
鶏? それとも犬かしら? 白い広場に何かぽつんと黒点が見える。ゆらゆら[#「ゆらゆら」に傍点]とセヴノウクがうしろへすっ飛んだ。
畑だ。
森だ。
野だ。
畑は赤・黄・白の幾何的だんだら。森は黒い集団。野は雲の投影。
機は早い。
NOW OVER Tombridge.
おや! 帯が落ちてる。何だ、国道《ハ
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