サれからまた、むさぼるように二人は下界の観察だ。
プロペラの音、その風、自信に満ちみちて大きくうなずく銀いろの翼、私の窓のそとに泣くようにふるえている、一本の寒い綱《ロウプ》。
地球はいま私たちに関係なく廻っている。
何たるそれはのろ[#「のろ」に傍点]くさい文明であろう! じつに笑うに耐えた平面・矮小・狭隘《きょうあい》・滑稽そのものの社会であり、歴史であり、思想であり、「人生の悲劇または喜劇」であろう! なんというパセテックなにんげん[#「にんげん」に傍点]日々の希望であり、Patho であり、微笑であることよ!
上から見る生活の白じらしいはかなさ――鳥はすべて虚無主義者に相違ないと私は思う。
機内はあかるい。天井に薄い布を張った菱形の非常口があるからだ。|裂く羽目《リッピング・パネル》である。Ripping Panel ―― in case of emergency, pull ring sharply. こう読める。忘れていた気味のわるい思いがふっ[#「ふっ」に傍点]とまた頭を出しかける。No Smoking とも大書してある。Not Even Abdullas とす
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