、まるで決闘だな。しかし、李剛主筆の深謀遠慮には、いつものことながら降参するよ。
安重根 (拳銃の一つを取り上げて灯にすかして見ながら)スミット・ウェトソン式だ。十字架が彫ってある。六連発だな。この銃身のところに何か書いてあるぞ。(横にして読む)――コレアン・トマス。
禹徳淳 朝鮮人《コレアン》トマス? 面白い。それを君の名前にするか。
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二人はじっとめいめいの拳銃に見入っている。手風琴と唄声が聞こえて来る。
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柳麗玉 (決然と)面白くなって来たわね。あたしだって働けるわ。ね、安さん、いっしょにハルビンに行くわ。
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安重根は二挺の拳銃を箱に納めて、手早く元通りに包んでいる。
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禹徳淳 そうだ。女づれだと、かえって警戒線を突破するのに便利かもしれないな。
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夕刊売りの少年が上手から駈けて来る。
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夕刊売り 夕刊! 夕刊! ハルビンウェストニ
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