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大尉の合図を受けて兵卒たちがのっそりとはいって来る。劉東夏はぼんやり立ち竦み、禹徳淳は驚愕して背ろへよろめく。
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十月二十六日、朝。東清鉄道長春ハルビン間の特別列車、食堂車内。
金色燦然たる万国寝台車《ワゴンリイ》の貴賓食堂車内部。列車の振動で動揺している。正面一列の窓外は枯草の土手、ペンキ塗りの住宅、赤土の丘、牧場、松花江《スンガリイ》の水、踏切りなどのハルビン郊外。近景は汽車の後方に流れるように飛び去り、遠景は汽車について緩く大きく廻る。車内は椅子卓子を片付けてリセプション・ルウムのごとく準備してある。車輪とピストンの規則正しい轟音。車窓の外の明徹な日光に粉雪が踊っている。
伊藤公出迎えのため便乗せる東清鉄道民政部長アファナアシェフ少将、同営業部長ギンツェ、護境軍団代表ヒョウドロフ大佐、他二三の露国文武官。ハルビン総領事川上俊彦、日本人居留民会会長河井松之助、満鉄代理店日満商会主、他二三。日露人すべて礼装。
一同が下手の車扉に向って立ち、無言で慎ましやかに待っていると
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