美的生活を論ず
高山樗牛
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)事《つか》ふる
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)新浴|方《まさ》に了り、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「血+おおざと」、第4水準2−88−4]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)知らず/\
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一 序言
古の人曰へらく、人は神と財とに兼ね事《つか》ふること能はず。されば生命の爲に何を食ひ、何を飮み、また身體の爲に何を衣《き》むと思ひ勞《わづ》らふ勿れ。生命は糧《かて》よりも優《まさ》り、身體は衣《ころも》よりも優りたるものならずやと。人若し吾人の言をなすに先だちて、美的生活とは何ぞやと問はば、吾人答へて曰はむ、糧と衣よりも優りたる生命と身體とに事ふもの是れ也と。
二 道徳的判斷の價値
夫れ道徳は至善を豫想す。至善とは、人間行爲の最高目的として吾人の理想せる觀念なり。是の至善の實現に裨益
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