しんしや》に成りすましたり。
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さるにても横笛は如何になりつるや、往生院の門下に一夜を立ち明かして曉近く御所に還り、後の二三日は何事もなく暮せしが、間《ま》もなく行衞知れずなりて、其部屋《そのへや》の壁には日頃《ひごろ》手慣《てな》れし古桐の琴、主《ぬし》待《ま》ちげに見ゆるのみ。
第二十二
或日、天《そら》長閑《のどか》に晴れ渡り、衣《ころも》を返す風寒からず、秋蝉の翼《つばさ》暖《あたゝ》む小春《こはる》の空に、瀧口そゞろに心浮かれ、常には行かぬ桂《かつら》、鳥羽《とば》わたり巡錫して、嵯峨とは都を隔てて南北《みなみきた》、深草《ふかくさ》の邊《ほとり》に來にける。此あたりは山近く林|密《みつ》にして、立田《たつた》の姫が織り成せる木々の錦、二月の花よりも紅《くれなゐ》にして、匂あらましかばと惜《を》しまるゝ美しさ、得も言はれず。薪採《たきゞと》る翁、牛ひく童《わらんべ》、餘念なく歌ふ節《ふし》、餘所に聞くだに樂しげなり。瀧口|行《ゆ》く/\四方《よも》の景色を打ち眺め、稍々《やゝ》疲
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