瀧口入道
高山樗牛

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)やがて來《こ》む

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)華冑攝※[#「※」は「たけかんむり+録」、読みは「ろく」、第3水準1−89−79、3−6]《くわちゆうせつろく》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)さ/\傍若無人の振舞《ふるまひ》
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」

※底本では、「愈々」「稍々」「熟々」「只々」「偶々」「唯々」「屡々」「轉々」「抑々」「略々」の「々」は二の字点(面区点番号1−2−22)が使用されている。
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   第一

 やがて來《こ》む壽永《じゆえい》の秋の哀れ、治承《ぢしよう》の春の樂みに知る由もなく、六歳《むとせ》の後に昔の夢を辿《たど》りて、直衣《なほし》の袖を絞りし人々には、今宵《こよひ》の歡曾も中々に忘られぬ思寢《おもひね》の涙なるべし。
 驕《おご》る平家《へいけ》を盛りの櫻に比《くら》べてか、散りての後の哀れは思はず、入道
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