幕末維新懐古談
その後の弟子の事
高村光雲

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)私事《わたくしごと》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)福岡県|博多《はかた》
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 ここで、少し断わって置かねばならぬことは、こういう門弟たちのことは別段興味のある話しというではなく、また事実としても、いわば私事《わたくしごと》になって、特に何かの参考となることでもありませんから、深く立ち入り、管々《くだくだ》しくなることは避けたいと思います。
 それに、最早《もはや》世を去った人などのことはとにかく、現存の人であって見れば、私と師弟関係があるだけ、毀誉褒貶《きよほうへん》の如何《いかん》に関せずおもしろくないと思いますから、批評がましいことは避けます。それに、自分では、今思い出すままを、記憶に任せてお話することで、疎密繁閑取り取りですから、その辺はそのつもりでお聞き下さい。とにかく、私の覚え帳に名前の乗ってるだけの弟子の数も五、六十名に達することで、一わたり、ざっと話して置きましょう。
 今度は山崎朝雲氏が入門された時分のことになります。朝雲氏は私の弟子
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