さの衣物《きもの》とか、小遣《こづか》いとかというものを給するわけには行かない。たとえば私の師匠東雲師が旺《さか》んにやっておられた時代に、私たちのような弟子を置いたようなわけとは全く訳が違います。で、なるべくならば、衣食というようなことに余り窮していない方の子弟があって、そういう人が弟子になりたいというのならば、甚《はなは》だ都合が好《い》いのでありました。しかし、困ってはおっても身の皮を剥《は》いでも、弟子を取り立てたいという希望は充分にあったことで、これが私の木彫り輓回策実行の第一歩というようなわけでありました。



底本:「幕末維新懐古談」岩波文庫、岩波書店
   1995(平成7)年1月17日第1刷発行
底本の親本:「光雲懐古談」万里閣書房
   1929(昭和4)年1月刊
入力:網迫、土屋隆
校正:noriko saito
2007年4月30日作成
青空文庫作成ファイル:
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