も見せるかな……なるほど、これは面白そうだ」
「大仏が小屋の代りになる処が第一面白い。それで中身が使えるとは一挙両得だ。これは発明だ」
など高橋氏や田中氏は大変おもしろがっている。ところが野見氏は黙っていて何ともいいません。考えていました。
「野見さん。どうです。高村さんのこの大仏という趣向は……名案じゃありませんか」
高橋氏がいいますと、
「そうですな。趣向は至極賛成です。だが、いよいよやるとなると、問題は金ですね、金銭《かね》次第だ。親父に一つ話して見ましょう」
野見氏は無口の人で多くを語りませんが、肚《はら》では他の人よりも乗り気になっているらしい。私は、当座の思い附きで笑談半分に妙なことをいいましたが、もし、これが実行された暁、相当見物を惹《ひ》いて商売になればよし、そうでもなかった日には飛んだ迷惑を人にかけることになると心配にもなりました。
野見長次さんは早速親父さんにその話をしました。
野見老人は興業的の仕事の味の分っている人。これは物になりそうだ。一つやって見たいというので、長次さんが老人の考えを持って来て、また四人で相談して、一応、私はその大仏さまの雛形《ひな
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