れが低いほど、また体《からだ》が小さいほど好いものとなっています。小さいのは南京《ナンキン》チャボとか地※[#「てへん+(「縻」の「糸」に代えて「手」)」、298−3]《じす》りとかいって脚も嘴《くちばし》も眼も黄色です。これはチャボの化けたようなものでしょう」
など講釈するものもあって、十中の十まで右の鶏を本当のチャボといいません。私も半月ほどいろいろ鶏の批評を聞きながら、その姿や動作を見ていたことですが、右のようなわけで少し不安心になりました。

 それで、今度は普通のチャボの、つまり背《せい》の低い方のを探したいと思い、御成街道《おなりかいどう》の錺屋《かざりや》に好いのがいるという話を聞いたので、また出掛けて行きました。
 御成街道のどの辺であったか今日|能《よ》く記憶しませんが、訪ねて行ってその錺屋の主人にチャボを見せてもらいました。が、これは今の南京チャボとか地※[#「てへん+(「縻」の「糸」に代えて「手」)」、298−11]りとかいう方のものでしょう、小ぢんまりした可愛らしいいかにも矮鶏らしいチャボですから、また、事情を話して借りたい旨を申し込んだ。すると、この人は工人だ
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