幕末維新懐古談
仏師の店のはなし(職人気質)
高村光雲
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)諏訪町《すわちょう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一切|飲食《のみくい》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)仏師[#「仏師」に傍点]
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師匠東雲師の家が諏訪町《すわちょう》へ引っ越して、三、四年も経《た》つ中《うち》に、珍しかった硝子《ガラス》戸のようなものも、一般ではないが流行《はや》って来る。師匠の家でもそれが出来たりしました。障子《しょうじ》の時は障子へ「大仏師高村東雲」など書いてあったもの。
仕事は店でやったものです。店には兄弟子《あにでし》、弟《おとうと》弟子と幾人かの弟子がいますが、その人々はただ腕次第、勉強次第でコツコツとやっている。別に現今のよう、その製作が展覧会などで公開され、特選とか推薦とかいって品評されるわけでもなく、特にまた師匠が明らさまに優劣を保障するわけでもないが、何時《いつ》となく、誰いうとなく、腕の好《よ》いものと、拙《まず》いものとはチャンと分っている。それは自然自他とも
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