古天に祈祷しつつあるを知らずや。
徂徠《そらい》先生その『風流使者記』中に曰く「風流使者訪名山」と。我らは風流使者にあらず、しかも天縁尽きずして、ここに名山を拝するの栄を得、名山が天を讃する如くにして、人間は名山を讃す、また可ならずや。
駒ヶ岳の麓、台ヶ原の客舎に昼餐を了《おわ》りたる束の間に、禿筆を舐《な》ぶりて偶感を記す、その文を成さざる、冀《こいねがわ》くは我が興の高きを妨ぐるなからむ。
底本:「山岳紀行文集 日本アルプス」岩波文庫、岩波書店
1992(平成4)年7月16日第1版発行
1994(平成6)年5月16日第5刷発行
底本の親本:「小島烏水全集 全十四巻」大修館書店
1979(昭和54)年9月〜1987(昭和62)年9月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:大野晋
校正:地田尚
1999年9月20日公開
2003年10月20日修正
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