し》の甲羅のように、小さく青く円くなっている。莟みの集団の下から、房になった黄色い四弁花が、いま電燈の蒼い光にきらびやかに匂っている、茎は一皮下には、青い血が通っているのではないかと思われるほど透き通って、有《あ》らゆる春の緑の中で、最も練り抜かれた緑である、見つめていると、早春の名残といったような淡い哀愁に加えて、物の末期の惨酷を思わせる姿である。
それにしても、我家の庭に、菜の花の畠が欲しい。
底本:「日本の名随筆17 春」作品社
1984(昭和59)年3月25日第1刷発行
1997(平成9)年2月20日第20刷発行
底本の親本:「小島烏水全集 第七巻」大修館書店
1979(昭和54)年11月発行
入力:門田裕志
校正:大野 晋
2004年9月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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