立山群峰が、もう五百|米突《メートル》も高くて、氷河の小塊が出来るという想像が、容《い》れられるとしたら、まあこんなものだろうと推測せられるだけに、何となく、捨てがたく思われるのである。
ここで、冒頭に戻って同じ言葉を繰りかえす、アメリカで好きな山は何かと聞かれると、一番先きに頭に浮ぶのは、シャスタ山である、それは必ずしも、好きであるからではないが、最も多く心を惹《ひ》かれる山であると。
終りに、この一文を、同行四人の中、馬術の達人であった神田憲君の霊前《れいぜん》に献《ささ》げる。同君は、その後帰朝して、過般の大震災で、鎌倉で圧死《あっし》の不幸に遭《あ》われた、他の二人は、野坂滋明君と国府精一君とである、今は米国と日本に別れていて、共に健在である。
底本:「山の旅 明治・大正篇」岩波文庫、岩波書店
2003(平成15)年9月17日第1刷発行
2004(平成16)年2月14日第3刷発行
底本の親本:「改造」
1929(昭和4)年7月
初出:「改造」
1929(昭和4)年7月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※初出時には副題「富士山との比較考察」がありました。
入力:川山隆
校正:門田裕志
2010年2月3日作成
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