更えの気分[#「衣更えの気分」は太字] 次に第二の句は「衣|更《が》え手につく藍《あい》の匂《にお》いかな」というのですが、この句は、つまり、「衣更え」と「手につく藍の匂い」という、二つに解剖してみる事ができます。「衣更え」とは、衣を着かえることで、着ている着物を、ぬぎかえることですから、身体全部に関係するのです。したがってそれは、触覚の世界です。肌《はだ》ざわりがよいとか、着心地がよいとか、わるいとか、いうのはそれです。「触」とはふれる[#「ふれる」に傍点]という字で、英語のタッチに当たります。「手ざわり」だとか「肌ざわり」だとか、いう感じは触れてみなければなりません。次に「手につく藍の匂い[#「藍の匂い」は太字]かな」ということは、「鼻」の世界です。したがってその対象は「香」です。匂いです。よい匂いがする。ほんとうにいい香《かお》りだな、というのはことごとく「鼻」に属するものです。で、この「衣更え」の一句の中には「身」と「鼻」との二つの世界、およびそれの対象となっている「触」と「香」との二つの境界を表わしていることになるのです。かくて私どもは、この「眼には青葉」の句と「衣更え」の句
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