恋愛曲線
小酒井不木

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)盛典《せいてん》を

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)世界|開闢《かいびゃく》以来

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)大きなひび[#「ひび」に傍点]が

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)恭《うや/\》しく
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 親愛なるA君!
 君の一代の盛典《せいてん》を祝するために、僕は今、僕の心からなる記念品として、「恋愛曲線」なるものを送ろうとして居る。かような贈り物は、結婚の際は勿論のこと、その他は如何なる場合に於ても、日本は愚《おろ》か、支那でも、西洋でも、否《いな》、世界|開闢《かいびゃく》以来、未《いま》だ曾《かつ》て何人《なんぴと》によっても試みられなかったであろうと、僕は大《おおい》に得意を感ぜざるを得ない。貧乏な一介の医学者たる僕が、たとい己《おの》れの全財産を傾けて買った品であっても、百万長者の長男たる君には、決して満足を与え得ないだろうと信じた僕は、熟考に熟考を重ね
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