のです。すると、殺害の動機は何であろうか。言うまでもなく毒瓦斯《どくガス》の秘密を奪うつもりだろう。しかるに犯人たちが昨晩までいたのは、おそらく秘密を見つけることができなかったためだろう。こう考えて、書斎を捜してみると、果たして秘密が隠してありました。
次に僕はもし三日前に殺したのだとすると、その間死体をどこへ隠しておいたのだろうかと考えました。するとこの家《うち》の中へ入る前に、勝手口のところの雪がたくさん取ってあるのを見たことを思い出したのです。
雪はおそらく死体を冷やすために取ったのだろう。してみると、死体は風呂桶の中に雪詰めにしてあったに違いないと考えて風呂場を詳しく検査すると、果たして血痕がたった一つ見つかりました。その血痕はたぶん先生の鼻から出たものでしょう。まだその他にもあったに達いないですけれど、おそらく斎藤が冷水浴をやる風をして洗いさったのでしょう。
最後に僕は先生の替え玉になる男は何者であろうと考えました。先生の替え玉になる者はきっと先生に似た男に違いないと、ご親戚の有無を尋ねたら、お嬢さんは、叔父さんが一人あって、しかもその人は変人で、蛇の皮や、蟇《がま》の
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