人工心臓の第二段の研究、即ち一旦絶命した動物を人工心臓によって生き返らせる研究は、思ったほどむずかしいものではありませんでした。私は家兎《かと》に種々の毒物を与えて絶命せしめ、心臓の最後の搏動の止むのを待って直ちに胸廓を開き、人工心臓を備えつけて実験しましたが、死の直後五分間以内にとりかかるならば、再び家兎の意識を恢復せしめ得《う》ることがわかったのです。然し五分以上経過すればもはや駄目でした。況《いわ》んや、死んで冷たくなった死体を生き返らせることなどは、夢にも希望が持てませんでした。然し、初めて、一旦死んだ家兎を極めて簡単に甦らせ得た私たちは、あまりに呆気《あっけ》ない思いをしながらも、嬉しさに研究室の中を飛び廻ったものです。尤《もっと》も、口で御話しすればこれだけのことですけれど、犠牲にした家兎は随分多数でした。即ち、家兎を殺すために用いる毒物の選択が可なりにむずかしいのでした。自然に死ぬのを待つことは出来ませぬから、人工的に死なせなければなりませんが、毒物の中には血液の性質を色々に変化せしめるものがありますから、随分困難な時もありました。而も一つの毒を用いた時だけに成功し
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