漢たちの逮捕の場面を述べなければならぬのですが、残念ながら、私自身その場に居合わせなかったので、その詳しい顛末を紹介することができません。で、私は、逮捕に行かれた小田さんが、俊夫君に物語られた話を、お取り次ぎするにとどめます。
「……伊豆山から君の電話がかかるなり、すぐ数人の腕利きの刑事をつれて逮捕に向かったよ。まず横浜の警察署へ行って事情を話すと、幾人でも応援隊を出すとのこと。それに大いに力を得て、闇夜《あんや》に乗じて阿片窟包囲に出かけたんだ。
この荒鷲町《あらわしちょう》というのは、支那人街の一部でずいぶん殺伐なところなんだ。かねて警察でも目をつけていたんだが、命知らずの連中の寄り合い場所だから、かの蜂の巣をつついて怪我をするようなことになってもよくないからと、いわば見て見ぬふりをしていたんだ。
けれども今度という今度は事情が事情だから猶予することができない。そこで横浜警察署でも、いわば乾坤一擲《けんこんいってき》の大勝負をするつもりで取りかかったんだ。
荒鷲町へ行くなり、先方もさるもの、すわ警察の手入れだと、阿片窟の連中は、抜け穴から逃れようとしたのだが、そこはかねて警察
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