ミウムの罎を見て、どうやら、僕の推定が確実になったような気がします」

     二

 先刻から二人の会話を熱心に聞いていた近藤女史は、このとき急に眼を輝かせて尋ねました。
「お話し中を失礼ですけれど、川上糸子さんがどうかなさいましたのですか」
 小田刑事は答えました。
「実は、川上糸子がこの先の二丁目の空家で殺されていたのです」
「ええっ!」
 と、女史は、思わず大声を出しました。
「川上糸子とおっしゃるのは、あの女優の川上さんのことでしょう?」
「そうです」
「それは何かの間違いではありませんか」
「今このゲルセミウムの罎《びん》が発見されたので、あるいは殺されたのでないかもしれません」
「いいえ、それを言うのではありません。殺されたにしろ、殺されたのでないにしろ、その女は、川上糸子さんではなく、もしや人違いではありませんか」
「それはたしかに川上糸子でした」
「でも、川上さんは、いま、伊豆山《いずさん》の温泉にみえるはずです」
 これを聞いた俊夫君は、とつぜん口を出しました。
「え? それは本当ですか」
「もとより確かなことは言えないですけれど、実は昨日、川上さんから絵ハガキが
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