持って行ったのであって、何の目的であるのか判らないということでした。なお、焼場の死体の臓器を盗む犯罪はよくあるが、法医学教室へ強奪に来るのは稀有の犯罪だと書き加えられてありました。
これで読者諸君にも、臓器の間違いの理由はわかったことと思いますが、ここに当然起る疑問は、箕島の死体がどうなったかということです。これは翌日の新聞にも出ていなかったのです。というのは、警察は三人組の他の二人をさがす為に、秘密に行動したからでありました。箕島の死体は警察医によってB町の三人の巣窟で解剖され、その結果、当然、胃の中から青色のダイヤモンドが発見されました。そうして宝石は首尾よくN男爵の手にかえりました。
[#地付き](「週刊朝日特別号」昭和二年一月)
底本:「探偵クラブ 人工心臓」国書刊行会
1994(平成6)年9月20日初版第1刷発行
底本の親本:「稀有の犯罪」大日本雄弁会
1927(昭和2)年6月18日初版発行
初出:「週刊朝日 特別号」
1927(昭和2)年1月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:川山
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