死生
幸徳秋水
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)就中《とりわけ》て
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)其|実体《サブスタンス》には
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「灰/皿」、第3水準1−88−74]《かぶと》に
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一
私は死刑に処せらるべく、今東京監獄の一室に拘禁せられて居る。
嗚呼死刑! 世に在る人々に取っては、是れ程忌わしく恐ろしい言葉はあるまい、いくら[#「いくら」に傍点]新聞では見、物の本では読んで居ても、まさか[#「まさか」に傍点]に自分が此忌わしい言葉と、眼前直接の交渉を生じようと予想した者は一個もあるまい、而も私は真実に此死刑に処せられんとして居るのである。
平生私を愛してくれた人々、私に親しくしてくれた人々は、斯くあるべしと聞いた時に如何に其真偽を疑い惑ったであろう、そして其真実なるを確め得た時に、如何に情けなく、浅猿しく、悲しく、恥しくも感じたであろう、就中《とりわけ》て私の老いた
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