所在監支倉喜平の許に送達された。支倉はこの送達書を受取って、如何なる行動に出るであろうか。


          大団円

 支倉が最後の手段として試みた忌避の申立は見事に却下されて、即日その決定書が送達されたが、支倉は果してどう云う態度に出たであろうか。
 意外! 送達は左の如き符箋つきで戻って来た。
「受送達者支倉喜平を市ヶ谷刑務所につき取調べたるに別紙符箋之通り死亡せし旨田辺看守長より申出につき送達不能、依って一|先《まず》及返還候|也《なり》」
 続いて市ヶ谷刑務所より控訴院検事長に宛て左の公文が到達した。
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 刑事被告人自殺の件通報
窃盗放火詐欺
強姦致傷及殺人
        支倉 喜平
     明治十五年三月生
大正六年三月二十日拘留
大正七年七月九日東京地方裁判所第一審判決
 右者頭書被告事件に付、控訴中の処、本日午前八時より同時十分迄の間に於て、巡警看守の隙を窺《うかゞ》い、居室南側裏窓の硝子戸|框《かまち》(高さ床上より約一丈)に麻縄約一尺(作業用紙袋材料を括りたるものを予《かね》て貯え、居室内に包蔵しいたるものゝ如し)許りを輪形に結びたる
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