、微に入り細を穿《うが》ち、満廷唖然とする一大雄弁を以て語り出した。
「之につきましては最初から申上げねばなりません。どうぞ御聴取を願います」
こう前置して彼は当時の事情を手に取るように委しく述べ立てた。殊に彼と小林兄弟、神戸牧師の三角関係は最も詳細に述べた。
「神戸はどうしても謝罪状を書けと原稿のようなものを出しましたが、私は拒絶いたしまして、それとなく君と僕と定次郎と共に貞の所へ行って、強姦か和姦か聞けば分る事だから、聞きに行こうと、云いましたが、神戸はそれに応じて呉れなかったのであります。私はこの為に随分迷惑いたしました。定次郎は私の不在中酔払って、外から大声を揚げてやって来まして、此家の主人は俺の娘を姦して淋病を感染さして、病院の入院料さえ払わないと大声で怒鳴った事さえあるのです。私は入院料を払わなかった事はありません。生憎定次郎に会った時には領収証をなくしていたのです。それも病院へ行って聞けば分る事です」
支倉は一度喋り出すと文字通り懸河の弁で、滔々数十分、言葉巧に当時の状況を説き来り説き去り、最後に、
「左様な事実で、貞を強姦したる事もなく、又殺害したる事実もないので
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