はこう考えたのだった。
彼は庄司署長の出頭する日を一日千秋の思いで待ち受けたのだったが、それが彼の余命を縮める基になろうとは、夢にも知らなかったのだ。
かくて五月十四日に第一回公判が開かれたが、この時既に庄司、神戸両氏は証人として出廷していたが、支倉は冒頭に何を考えたか不貞腐《ふてくさ》れて終った。
裁判記録によると彼は裁判長の訊問に答えなかったのである。
「裁判長は被告人に対し氏名年齢職業住所本籍出生地を問いたるも被告人は黙して答えざるを以て重ねて問いたるも尚答弁せず」
こゝで裁判長の心証を悪くしてはと能勢弁護人は心配したので、一声高く呼んだ。
「裁判長、被告に一言述べる事をお許し下さい」
支倉が黙して答えないので、能勢氏は一大事と裁判長の許可を得て、彼に忠告を試みた。
「能勢弁護人は裁判長の許可を得て、被告人に裁判長の訊問に答え弁明する所あらば弁明を為す方が可ならんと忠告したるに、被告人は答弁せざるに非ざるも、本日の公判に間に合うべく書類を熟読し来たらざるにより延期を乞うべく出廷したるなり。されど記憶を喚起し成るべく答弁する旨申立たり」
之だけの手数を重ねて裁判長は漸
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