木藤はうなずいた。
「私だって彼の冤罪を全然信じている者ではありません。ですから、こゝでは彼の云う事が正しいか正しくないとか云う問題でなく、彼も今となっては悔悟の涙に暮れているのですから、どうでしょう、義侠的に彼を救ってやって下さいませんか」
「成程、あなたのお考えはよく分りました。憐れな囚人や、醜業婦や、貧民窟の貧乏人を救ける位の義侠は宗教家としては持合せていなければならぬ筈です。然しそれも事柄によります。現在のように法律問題となって、法廷の曲直を争っている彼に対して、私が義侠的に救けると云う途はないと思います。法廷に立って私は、権力を以て強られるまゝに、真実私の感じた事を述べるより外はありません」
「先生の御意見はよく分りました。では私として、法廷の証言以外に彼に対して、どうか好意を持ってやって頂きたいとお願いするより致方ありません」
「私は前申上げた通り、彼に対して悪意を持った事はありません。仰せの如く今後出来るだけ好意を持ち続ける事にいたしましょう」
「どうも恐れ入ります。そう願えれば之に越した喜びはありません。それから」
 木藤は鳥渡言葉を改めて、
「お言葉に甘えてお願
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