いながら、焼けつくような太陽は埃りぽい庭にギラ/\と眩しい光を投げつけていた。神戸牧師は端然と書斎の机の前に坐りながら、書見に倦み疲れた頭をぼんやりと休めていた。
 あるかなきかのそよ風が軒に釣り古した風鈴に忍びやかな音を伝えて、簾越しにスーッと、汗ばんだ単《ひとえ》衣の肌を冷かに撫でて行った。
 神戸牧師はふと今朝程来た裁判所からの召喚状の事を思い出した。彼の眉にはみる/\深い皺が寄った。
 牧師の頭には不愉快な思出がアリ/\と浮かんで来た。
 大正六年の冬、それはもう一昨年の事になるが、初めて神楽坂署に呼出されて、支倉喜平の恐ろしい罪状の数々を聞き、彼の自白に立会ってから、昨年の夏第一審の終結となるまで、何回となく証人として法廷に立たされた、苦しい思い出は終生忘れる事が出来ない。
 去年の夏七月第一審が終結した翌朝、彼の妻は不安とも安心ともつかない浮かない顔をして彼に云った。
「支倉はとうとう死刑になりましたね」
「うん」
 牧師も浮かない顔をして答えた。
「控訴するでしょうか」
「無論するだろう」
「じゃ、又証人に呼び出されるのでしょうか」
「無論、呼び出されるだろう」
 妻は言
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