も揃って、正を踏んで恐れざる斯界勇猛の士に当ったのは、支倉の運の尽きる所だった。
宮木判事は如何に本件を解決すべきか、日夜沈思した。支倉の罪悪中最も重いのは殺人であるが、之を確認するには先ず被害死体が果して小林貞であるか否かを定めなければならない。被害死体が貞でないとすれば問題は根本から覆《くつがえ》って終う。死体が貞であると決定しても尚自殺か他殺か過失死かいろ/\問題が残るけれども、要するに死体の確認が第一である。予審調書に現われた所では未だ確実と云い難い。こう宮木裁判長は考えた。恰もよし、同じ思いの能勢弁護人より鑑定の申請があったので、忽ち之を許可すると共に、頭蓋骨については一名、着衣の一部である布地については二名の鑑定人を附する事にした。
十月二十五日続行裁判の劈頭に於て右の鑑定人が呼び出された。
一人は頭蓋骨の鑑定を命ぜられた斯学に学殖経験深き帝大医科の助手友長医学士で、一人は布地の鑑定を命ぜられた本郷の裁縫女学校長として令名高き田辺氏だった。
頭蓋骨の鑑定事項は次の如くである。
鑑定事項
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一、大正六年押第二八八号二十八の頭蓋骨につき其
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