入って来た無礼をむげに咎める事が出来ないのだった。
「そうでしたか」
 浅田はうなずきながら、
「此頃のように気を使っては尤もな事ですよ。そう云えば支倉さんもいよ/\公判に廻るそうですね」
「はい、近々そう云う都合になるそうです」
「予審で免訴と云う訳に行きませんでしたかなあ」
「はい、矢張り有罪と極りました。それに」
 静子は恨めしそうに浅田を見上げながら、
「保険会社から私訴とやらが出まして、この家を仮差押えされて終いました」
「えっ、仮差押え?」
 浅田は驚駭の色を現わしながら、
「そ、そんな筈はありませんが」
「でも、いたし方ございません。一昨日すっかり差押えられて終いました」
「はてね」
 浅田はじっと天井の隅を睨み上げながら、
「そんな事が出来る筈はないと思いますが、早速調て見ましょう。この家を押えられては困るでしょう。支倉さんも家を非常に頼みにして居られて、一日も早く無事にあなたの手に移るようにと、そればかりを気にして居られたのですからね」
「はい」
 静子はうなだれた。
「この家が自由になりませんと、弁護士を頼む事も出来ません」
「ほんにそうですね」
 静子の言葉に浅田
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