代りに妻子を助けて下さい。ヨロシイお前が男を立てたなら俺も男だ、職権を捨てゝまでもお前の妻子を助けてやろう。あの家だっても聖書会社より差押えられんようにしてやる、妻子の所有としてやる、安心せよ。それについては何か言い置く事はないか。言い置く事あるなら明日誰なり呼び出してやる。それなら妻を呼出していたゞきたい。それから府下中野町のウイリヤムソン師に神戸《かんべ》牧師を呼んでいただきたい。(冤罪の為今は覚悟して死に行くべき身の心の苦しさ)よろしいそれなら明日呼んでやろうと云うので、こゝに生れたのは第三の聴取書なのであります。之なる聴取書だとて並大抵ではありません。自分は殺して居らんものを殺したとして立つのですから、当惑しどう答えてよきやら、先方委せ、先方の云わるゝ儘になったのであります。然し根岸刑事なり署長さんがあゝまで云われたからとて、あとを見なければ中々に安心は出来んと思い起しました。
妻子を助けたき山々なれど、吾は如何せん冤罪の下にオメ/\と絞首台に上がらなければならんのか、あゝ、世は無常々々、人生は夢だ/\断念《あきら》めた。今更女々しき根性は出すまじ我もヤソ信者として妻子を助け
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