られるなら、いっその事死んだ方がましだと、それから二度目の自殺を謀ったのであります。看守厳重になり到底死ぬ訳に行かず。罪の私は兎もあれ、罪なき妻子を明日から苦しめると云う事は実に忍びない事だ。からとて殺さんものを殺したと云う訳にも行かず、此上は致し方なし、なんぞ嘘言の申立てをなし、此場を一日も早く、骸骨の責め、虎口より逃れ妻子を救わんとしたのであります。かねて根岸、石子両刑事からのたのみもあることですから、こゝに第二の聴取書中の助《すけ》と云う無形の土工を呼び起してさも真実らしく申立てたのです。なれども事中々には承知して下さらんのです。お前は殺したにせなければいかん。人にならってはいかん、と云われ、私が予審々々と幾度願っても、ヨシンに廻して下さらんのです。益※[#二の字点、1−2−22]辛く酷く責められるのであります。徹夜にての骸骨との接吻の連続数々、此上は仕方がない、自分の身を絞首台に上せる外途はない。自身を殺して妻子を助けてやろうと、それから大決心をして茲《こゝ》に私は殺さぬ者を殺したとして大胆にも叫んだのであります。署長殿の前に嘘自白をしたのであります。私も男です、自白いたします
前へ
次へ
全430ページ中310ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
甲賀 三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング