の真実の告白と見るべくして、毫も強制せられた虚偽の自白とは思わるべき節はなかったのである。この意味に於て、時の署長は固く彼の自白を信じたものと思う。
 然しながら後に彼が獄中に於てものした日記や、神戸牧師其他に訴えた手紙を読むと、言々血を吐く如く、鬼気迫って遂に読み下し得ないものがある。もし前後の事情を少しも知らずして、彼自身の訴える如く冤枉者《えんおうしゃ》であると信じるかも知れぬ。
 それらの事は後に詳説するとして、兎に角支倉喜平は、詐欺、窃盗、文書偽造、暴行、傷害、贈賄、放火、殺人、という八つの罪名の許に検事局に送られる事になった。

 支倉喜平は殺人放火以下八つの恐ろしい罪名で検事局に押送される事になった。
 こゝで一寸意外に感じるのは、庄司署長以下刑事連が支倉を自白させるに当って、繰返し罪の軽減を計ってやると云った言葉である。放火殺人暴行と並べると、その一つを犯してさえ重罪は免れないのだから、況んや未だその上に余罪を並べ立てられては、とても罪の軽減などは望まれぬ。署長も始めから支倉に情状酌量の余地があるとは思っていなかったかも知れない。では、署長は彼を欺いたのだろうか。
 然
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