白が余りに立派であった事で、立会人であった神戸牧師が前掲の言葉のうちで認めている通り、彼の自白が真実である事は少しも疑う余地がなかった。のみならず彼は繰返し繰返し署長に感謝の念を捧げている。それは署長の取調べが情誼を尽し巧に人情の焦点を衝いて、支倉をして深く感銘させた為であって、彼が将来署長に向って反噬《はんぜい》を試みようなどとは夢にも思っていなかった。その為にも早《はや》証拠蒐集等の事をなさず、只彼の自白を基礎として検事局へ送ったのである。
之が後年数年の長きに亘って事件を混乱に陥らしめ、彼支倉をして生きながらの呪いの魔たらしめ、多数の人を戦慄せしめた大きな素因であった。
或人は庄司署長を攻撃して、功名に逸《はや》る余り、無辜《むこ》を陥いれたので、支倉は哀れな犠牲者だと云うその是非についてこれより述べよう。
庄司署長は果して支倉に罪なき罪の自白を強要したのであろうか。
彼は三年前に犯されてあわやその儘葬り去られようとしていた恐るべき犯罪を発《あば》き出した事について、警察署長として大きな誇りを感じていたに違いない。殊にその犯人が一筋縄で行かない曲者で、手を替え品を替え辛
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