尖った頬骨、大きな鼻と凹凸の多い彼の顔にクッキリとした影をつけて、彼を一層物凄く見せていた。
「よしっ、そんならお前に見せるものがあるっ」
 そう叫んで石子は何やら白いものを取り出したが、支倉は一目見ると、
「あっ」
 と叫んだ。

 支倉が一目見るより、あっと叫んだのは何事か。石子刑事の取り出したものは白く曝れた髑髏だった。
「支倉、この髑髏をよく見ろ」
 石子は支倉の眼の前に気味の悪い頭蓋骨をつき出した。
「これは何だ」
 支倉は叫んだ。
「分らないか。この髑髏の歯を見てみろ。之はお前に殺された小林貞の骸骨だ」
「え、え」
 支倉は恐怖の色を現わして顔を背向《そむ》けようとした。
「おい、何もそう恐がる事はない」
 渡辺刑事は石子から髑髏を受取りながら、
「お前の可愛がった女の骨じゃないか」
 未だ深夜と云う程ではない。けれどもこゝは聞くだに恐ろしい刑事部屋で、あたりは寂としている。それに荒くれた刑事達に取巻かれて、髑髏を眼の前につきつけられたのであるから、流石の支倉もギョッとしたに相違ない。もし彼が小林貞を殺していたとすると、いかに恐怖を感じたであろうか。想像するに難くない。
 
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