策によって警察に出頭を命ぜられて、取調を受ける事になった。
それより前に石子刑事は取敢ず芝今里町の神戸《かんべ》牧師を訪ねたのだった。
神戸牧師と云うのは当時三十五、六、漸く円熟境に這入ろうとする年配で、外国仕込の瀟洒たる宗教家だった。支倉の妻が日曜学校の教師などをして、同派に属している関係から知合となり、妻の縁で支倉も続いて出入するようになり、小林貞を支倉の家に預けるようにしたのも、彼が口を利いたのだった。そんな関係で支倉は神戸牧師に師事をしていたのだった。
石子刑事が名刺を通じると直ぐに二階の一室に通された。
白皙な顔に稍厚ぽったい唇をきっと結んで現われた牧師は、石子にちょっと会釈して座につくと不興気に云った。
「何か御用事ですか」
「はあ、鳥渡支倉の事についてお伺いしたい事があるのです」
石子は畏まって云った。
「支倉? はゝあ、どんな事ですか」
「実は支倉はある嫌疑で神楽坂署に留置してあるのです」
「支倉が」
神戸牧師は鳥渡驚いたようだったが、直ぐ平然として、
「はゝあ、どう云う嫌疑ですか」
「それはいろ/\の嫌疑で鳥渡こゝでは申上げられないのですが、それにつきまし
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