たように呶鳴った。
「宜い加減な事を云って事がすむと思うと大間違いだぞ。俺の云う事には一々証拠があるのだ。根もないことを聞いているのではないぞ」
「証拠?」
 支倉は少しも動じない。
「どんな証拠か知らぬが見せて貰いたいものだ」
「では知らぬと云うのだな」
「知らぬ、一切知らぬ」
「よし、では今は之だけにして置く。追って取調べるから、それまでによく考えて置け」
「考えても知らぬものは知らぬ。そう/\度々呼出されては迷惑千万だ。それ以上聞く事がないなら帰して貰いたい」
「何、帰して呉れ?」
 主任は憎々しげに支倉を睨んだ。
「貴様のような奴を帰す事が出来るものか。大人しく留置場に這入って居れ」
「じゃ、僕を拘留すると云うのか」
 支倉は気色ばんだ。
「それは人権蹂躙も甚だしい。一体何の理由で僕を拘留するのだ。僕は正業に従事している。何一つ法に触れるような事をしていない。拘留を受ける覚えはない」
 支倉は喚き立てた。

 喚き立てる支倉を尻目にかけながら、大島司法主任は冷かに云った。
「貴様は道路交通妨害罪で二十九日間拘留処分に附するのだ」
「え、道路交通妨害罪?」
 支倉は唖然とした。

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