ぼっこをしていた子供や子守り女の群はもうそんな悠暢な事はしていられないと云う風にキョト/\と歩き廻り始めるのだった。
 石子刑事は油断なくこんな光景を睨み廻していたが、何を思いついたか足を早めて鳥居の外へ急いだ。と、その辺にしゃがんでいた見るから田舎臭い、真黒な日に焼けた中年の男が、脂だらけの煙管をポンとはたいて、腰に差した薄汚い煙草入にスポリと収めると、ヒョロ/\と立上って、石子の前に歩み出でヒョイと頭を下げて、
「鳥渡ものをお尋ね申しますだが」
 と、云ったが、直ぐ低声《こゞえ》になって、
「どうした、来たのかい」
 と口早に聞いた。
「いや、未だ」
 石子も低声で鋭く答えた。
「どうして外へ行くのだ」
 彼は重ねて聞いた。
 この田舎爺然としている男は田沼と云う刑事で、柔道三段と云う署内切っての強の者で、今日は特に選抜されて出て来たので、スワと云えば直ぐ飛び出して腕力を奮おうと云うのである。
「実はね」
 石子は答えた。
「今ふと思いついたのだが、支倉の奴はとても喰えない奴だからこゝの境内までは来るまいかと思われるのだ、奴はきっと八幡様の手前の方にそっと見張っていて、浅田の姿を見
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